大人になったら自分の顔に責任を持て、と言った人が確かいたような記憶があった。
そこで調べてみると、居た、間違いなく居たのだ。
それはアメリカの16代大統領だったアブラハム・リンカーンであった。彼は言った。
「男は40歳になったら、自分の顔に責任を持て」
なかなか誰でもが口に出来ない勇ましい言葉である。
末尾に、そんな勇ましい言葉を残した故リンカーン大統領の写真を掲載しておいたので、ぜひ見ていただきたい。だが、写真の顔は「自分の顔に責任を持て」と言った人にふさわしい顔なのか疑問である。そうとも見えるし、「これは強盗の親分の顔だ」と言われてみれば、そのようにも見える。前者の場合、大統領という先入観があるから、立派そう見えるだけのことではないのか。
人間の顔は、見る人の主観や先入観によって左右される。
人間の顔は、生れてから死ぬまでの間に、めまぐるしく変わる。変わらないように思っていても、古い写真を引っ張り出していまの自分の顔と見比べると、変わっていることに驚くのではないか。
やはり生きる環境が、私たちの顔に影響するのかもしれない。親からもらった私たちの遺伝子に、環境が大きく影響するとすれば、リンカーンの言葉に頷けるものがある。
リンカーンの「40歳になったら」とは「未熟な年齢を過ぎたら」という意味であり、「顔に責任を持て」という言葉は、要するに責任ある言動をすべきだ、ということであろう。
そうでなければ、リンカーンの顔は到底責任を持った顔と、私には見えないし、先入観なしにアメリカの大統領だったとは見えないからである。